福田圭祐講演会「注意による短期記憶の制御と長期記憶の形成―個人差からのアプローチ―」
視覚認知研究の気鋭の研究者をお迎えし、講演会を開催いたします。注意,短期・長期記憶の個人差についてお話をしていただきます。参加費は無料です。お気軽にご来聴ください。
日時:2010年9月8日(水) 午後4時00分-5時00分
場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館207号室
http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/maps/
講演者: 福田圭祐氏
University of Oregon, Department of Psychology
講演のタイトルと要旨
注意による短期記憶の制御と長期記憶の形成―個人差からのアプローチ―
視覚性短期記憶には厳しい容量の制約があり、一度に覚えられるのは物体3つ程度までと言われている。容量制約には個人差があり、この差は測定ごとに変化する一時的な差ではなく、個人の特性として一貫している。このような個人差を持つ短期記憶容量は、流動性知能や推論などの高次機能と正の相関を持つことが知られている。
これまで、短期記憶容量の個人差は、オンラインで貯蔵できるスペースの大小によって生じていると考えられてきた。しかしながら、スペースの差ではなく、短期記憶へのアクセスを制御する注意機能の差として考えることも可能である。実際、短期記憶容量の高い個人に比べて、容量の低い個人は、不必要な情報であっても排除できずに短期記憶に貯蔵してしまうことが示されてきた(Vogel, McCollough, Machizawa, 2005)。本研究では、この結果をさらに発展させ、注意制御による短期記憶へのアクセスの差が、オフラインのメモリである長期記憶の形成にも影響するのかを検討した。実験では、短期記憶課題をおこなう際に同じ記憶画面を繰り返し提示する条件を用意し、課題終了後に、繰り返し提示した画面の記憶成績を調べた(長期記憶課題)。
一連の実験結果から、個人の短期記憶容量は長期記憶課題の成績を強く予測することが明らかになった。この結果は、あらかじめ長期記憶課題があることを知らされていた意図的学習事態と、長期記憶課題があることを知らされていなかった偶発学習事態の両方で観察された。さらに事象関連電位(event-related potential: ERP)を用いて検討したところ、長期記憶からの想起が成功したときに誘発されるERP成分(e.g.前頭N400)は、短期記憶容量の高い個人においてよく観察され、ここでも短期記憶へのアクセスをうまく制御することが長期記憶への記憶につながることが示された。これらの結果から、注意制御の効率は、短期記憶の制御を通じて、長期記憶における記憶の形成をも左右していると考えられる。
お問い合わせ先:
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